——————収録の感想をお願いします。
原作がある作品のシチュエーション音声化ということで、オリジナル作品とはまた違った緊張感があります。毎度のことなんですけど、原作漫画を好きな方が多くいらっしゃるからこその音声化だと思いますので、少しでもお気に召していただけるものになるようお芝居ができると嬉しいなと思いながら、収録に臨みました。
——————演じる上で、気にしたポイントは何ですか
原作の漫画では、友人でありお兄ちゃんの洋平との会話などもあるわけですが、シチュエーション音声としては、葛󠄀見の言葉、葛󠄀見の声のみが聴いてくださる皆さまの耳に届くので、音としてお届けするために脚本で調整をしてくださっているわけですが、お話の整合性など、音として聴いたときにどうやって届くかなという点が意識したポイントです。
——————印象に残ったシーンを教えてください
文具フェアにデートに行ったときの喫茶店のシーンですね。
葛󠄀見が自身の境遇を話す場面ですが、漫画としてはセリフとモノローグとで表現する部分を、全部セリフで表現することになるので、どういう風に整理をするべきか、演じる上での心情などについて、先生やスタッフさんのご意見を伺いながら、自分の意見もお伝えしつつ、彼自身がどう思っているかを大切に考えて、話し合いながら演じさせていただきました。
また、トラック5のベランダで独りごちるシーンは、音ならではの表現だと思います。
デート中に洋平とばったり会ってしまって、この先ふたりの関係はどうなる?というところから最後のトラックにつながる、良いオリジナルシーンになっているんじゃないかなと思いますので、こちらも印象に残っています。
——————演じてみて、葛󠄀見の魅力はどのように感じましたか?
原作を読ませていただいて、作中の評価としては『軽薄だ』『クズだ』と、いろいろとダメなところがあると指摘されていましたが、そこに関して、葛󠄀見自身も否定するわけではなく、そうだよねって受け止めているんですよね。彼自身が経験してきたことの積み重ねが、今の葛󠄀見につながっているんだろうなと。
ただ物語が進む中で「こんなはずじゃなかった」と葛󠄀見もいうように、本当に好きだって思ったときの、これまで見せてこなかったまっすぐさとか、本人は否定しますが嫉妬する部分を見せることが、ここまでに覚えていたある種のあきらめを取っ払った、彼自身の人間性やギャップにも感じられて、魅力になる部分かと思います。
—————発売に向けてメッセージをお願いします。
葛󠄀見佳鷹の声を担当させていただきました、冬ノ熊肉と申します。
多くの方に愛されて、たくさんの読者がいらっしゃるこの「つまり そういうコト。」という作品の音声化にあたり、自分なりにああでもないこうでもないと考えながら、先生やスタッフさんと話し合って、OKをいただきながら、収録に臨ませていただきました。音声ならではの表現や、原作にはないシーンやセリフもありますので、音声を聴いた上で原作を読んでいただけると、葛見という人物をまた違った角度で見ることができるんじゃないのかなと思います。
原作をお読みの方にも少しでも楽しんで聴いていただけると嬉しいなと思いますし、音声から作品を知ったという方には、ぜひ原作漫画もお読みいただければと思います。よろしくお願いします。